以前の記事で、配偶者居住権に関する法律改正に触れました。それに関連して、今年令和1年7月1日施行の法律改正により、婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が、他方配偶者に対し、その居住用不動産を生前贈与又は遺言による贈与をした場合については、遺産分割時に当該居住用不動産の価額を特別受益として扱わずに計算ができるようになりました。つまり、配偶者の取り分を増やすことができるようになりました。
特別受益とは、生前贈与や遺言による贈与で、特別な援助を受けたことを言います。相続財産を先渡ししているだけとして、遺産分割時にはそれらの価額も考慮して(特別受益の持戻し)、それぞれの相続分を計算します。(なお、令和1年7月1日の法律改正により、相続人に対する贈与は、相続開始の10年前までにされたものに限り特別受益として考慮することとなりました。)
今回の改正も、配偶者の老後の生活保障を実現するために行われました。利用するには、次のどちらかをしておく必要があります。
・生前に居住用不動産を配偶者に贈与する
・配偶者に居住用不動産を遺贈する旨の遺言を書いておく
何かきっかけが無いと、今回の改正を利用する機会はなかなか無いかもしれません。しかし、相続で揉める可能性が考えられる場合は、検討してみる価値がありそうです。長野市近隣地域の皆様、ご相談をお待ちしております。